オーバースペックなシール

「このシールをそっくりそのまま作ってもらいたい」

このようなご依頼をたまに頂く。今まで、頼んでいた工場が廃業したなどの理由で持ち込まれることが多い。

基本、我々は持ち込まれた仕様に忠実に作る。「これは何に使うんですか?」と後で聞くと、不必要に高価な素材を使っていたり、コストのかかる印刷方法で作っていたりする。

つまりオーバースペック(過剰性能)な仕様のシールだ。

もう少しサイズが小さければ、

もう少し紙質を検討すれば、

もう少しデザインを変えれば、

もっとコストが抑えられる場合がある。

クライアントさんと直接、その辺りの突っ込んだお話ができると、こういうことはなくなる。

しかし、その逆で長年リピートしているシールの仕様を変えて失敗する場合もある。その仕様に収まった理由が、引き継がれていない場合だ。

シールに対してセパレータ(剥離紙)が、やけに大きいシールがあった。

実際に使うシールに対して、それを支持する役割の剥離紙なのだが、型で抜いた後は、巻き取って捨ててしまい、製品時には剥がしやすくなっている。でもその部分も当然コストに関わってくるし、ゴミも増えるので、そこは最小限にするのが普通だ。

製造現場から「小さくしていい?」と言われ、経緯を知らぬ私は、剥離紙を小さくした。

それが悪かった。お客様からクレームが入った。

実際の使用現場では、作業者は軍手を使っていた。あの無駄と思えた剥離紙は、持つ部分を大きくして、剥がしやすくしていたのだ。逆に言えば、もし軍手を使っていないならば、その仕様は見直してもよかった。

長年、仕様を変えずに来たシールも、こうしてその意味を確認する事も大切だ。

でないと、オーバースペックのものを作り続けることとなる。

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